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2020年08月21日

進路ニュース 高3生は“入試直前まで”成績が伸びる

大学入試が変革期を迎え、受験生の「安全志向」が顕著になっています。最後のセンター試験と文部科学省による入学定員管理の厳格化とを背景に2020年度入試では難関大学を回避して手堅く合格できる大学を狙う動きから、いわゆる日東駒専の志願者が増加、地元私立大や理系単科大学の一部に難化傾向がみられました。現在の高3生が受験する2021年度入試からは、大学入試センター試験に代わる「大学入学共通テスト」が実施されます。新入試への不安から浪人を避ける心理もあり、安全志向は続きそうです。社会が変化する中で、求められるのは学び続ける力。どの大学で何を学ぶのか。

第1志望にこだわって挑戦を

 安全志向の高まりには、複数の要因がありますが、影響が大きいのは私立大学の入学定員管理の厳格化でしょう。これは文部科学省が都市部の大学への学生集中を解消するため、2016年から推進しており、浦和南高校でも難関私立大への合格者が激減しており、本校の課題の一つです。

 ある基準以上の定員超過率となった場合、私立大学等経常費補助金が不交付となります。大学側は合格者数を絞りこんだため、受験生は難関大学の激戦を予想し、確実な合格圏の大学を狙いました。その結果2020年度入試では、首都圏では早稲田大や慶應義塾大といった難関私立大がやや志願者を減らしました。一方、浦和南高校でも受験希望者が多い日東駒専(日本大・東洋大・駒沢大・専修大)では、いわゆるアメフト部問題で出願者が減少していた日本大の志願者が増加する現象が起きました。

産経新聞で、大手予備校・河合塾池袋校校舎長の鈴木勝洋さんに、今こそ重要な第1志望へのこだわりや、大学入試を通して広がる未来について取材をしていたので紹介します。

●安全志向の背景と生徒たちの意識に変化はありますか

 入学定員管理の厳格化が進んだ結果、「受かると思っていた大学に受からない」という声があがり始めました。入りたい大学というよりは、「より合格する可能性の高い大学」を受験する生徒が増えています。安全志向というよりも志望校を安易に考えている印象を受けます。

●大学を目指す意味を忘れてしまいそうですね

 日本には約800校の大学があり、それぞれに特長があります。「とりあえず大学へ」となると、どこかに入学することはできます。しかし、それでいいのでしょうか。社会では今でも少なからず最終学歴が求められ、就職も考えなければなりません。大学選びで妥協することは、5〜10年後の将来への妥協にもつながります。進学したものの、「何か違う」「やりたいことと違う」と後悔して再び大学受験をする浪人生が増えています。

●安全圏で受験を決めた場合、学習への影響はありますか

 「志望してなかったが、模擬試験でA判定が出たからその大学でいい」と思ってしまうと気持ちが緩み、最終的には、どこにも受からないということにつながってしまいます。第1志望にこだわって努力を重ねることで、第2、3志望にも合格する可能性が高くなるのです。E判定だからといって第1志望をあきらめて、早い段階で入れそうな大学に決めてしまえば、第1志望に合格するチャンスはやってきません。日東駒専(日本大・東洋大・駒沢大・専修大)やMARCH(明治大・青山学院大・立教大・中央大・法政大)に不合格でも、早稲田大や慶応義塾大、上智大などの難関大に合格していく生徒がよくいますが、決してラッキーや奇跡ではありません。最後まで努力をしたことで、いい結果が生まれたということです。

●第1志望へのこだわりをどうやって維持すればよいのでしょうか

 模擬試験を受けた高校3年生の成績データの平均をみても、入試直前で大幅に伸びていることは明らかです。精神論ではなく、「高校3年生10月時点の成績がこれくらいだった生徒が、こうやって合格しているよ」とデータで示すと納得して前向きになれる生徒が多いです。そして、「最初にこういう希望や志望があったよね」と初心を振り返りながら、面談で繰り返し生徒の気持ちを確認します。

●なぜ直前まで伸びることが可能なのでしょうか

 高3生は、部活動や学校行事もあり、本格的な受験勉強に入る時期が遅くなってしまう生徒が多いです。予備校に通う生徒も約8割が部活動をしています。つまり、現役生は穴(弱点)が多く、そのため入試直前ギリギリのタイミングまで、弱点を埋められるので伸びしろが大きいのです。もちろん成績には停滞期もあり、つらい時期もありますが、つらいからといって途中であきらめて、現状で受かる大学に決めてしまうのはあまりにももったいないです。弱点を補完していく勉強を続けていれば、もっと伸びる可能性があるのです。

●「大学入学共通テスト」への不安感は大きいですか

 変革期の受験生は安全志向になりがちで、浪人生が著しく減少する傾向です。今回は新入試になることもあり、さまざまな議論が続いています。変化を避ける傾向が強く、保護者を中心に「現役で」「早めに合格できる大学を決めたい」という声があがっています。

●難関大学の動向についてはいかがですか

 模擬試験の動向から、「国公立・難関10大学」(旧帝大+東工・一橋・神戸)が前年比95%、私立大の「早慶上理」(早稲田・慶應・上智・東京理科)が前年比95%と難関大志望者が減少している傾向があります。こだわって上位を目指す生徒にとってはチャンスです。安全志向の現状では、難関校には出願さえしない生徒も多いので、中堅校はむしろ難化する可能性が高いです。志望校を下げず、第1志望にこだわって入試直前まで学力を伸ばす努力をしてほしいです。

●受験生に対してメッセージを

 勉強だけできる時間は貴重で、人生の中では一瞬。第1志望にこだわって頑張った経験は、大学での学びのおもしろさや就職、将来的な展望の広がりにつながります。納得した結果ならば、その大学やその先の将来を自分が活躍できる舞台に変えていけます。大学入学はスタート地点だということを忘れないでほしい。だからこそ、行ける大学ではなく、行きたい大学にこだわって最後まで挑戦してほしいと思います。

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