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2021年02月16日

【校長ブログ】改めて読む内田 樹さんの論評「最悪を想定しない国民性―危機管理と日本人―」

昨日2月15日は新春の嵐のような風雨から夕方には晴れ上がり、私も久しぶりに虹を見ました。新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が埼玉県では、12月7日以来の100人をきりました。少し古い新聞記事になりますが、昨年6月11日の埼玉新聞に掲載された内田 樹 神戸女学院大名誉教授の論評を再読しました。新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言が5月25日に解除され、6月から分散登校が始まったころの論評です。

内田樹氏は、危機管理とは、「もっとも明るい見通し」から「最悪の事態」まで何種類かの未来について、それに対応するシナリオを用意しておくことであると述べていますので紹介します。

 危機管理というのは、「最も明るい見通し」から「最悪の事態」まで何種類かの未来について、それに対応するシナリオを用意しておくことである。どれかのシナリオが「当たる」とそれ以外のシナリオは「外れる」。そのための準備はすべて無駄になる。そういう「無駄」が嫌だという人は危機管理には向かない。最悪の事態を想定し、そこに対して準備しておくことだ。儲けや効率を重視してそれを無視するといざ危機になった時に対応できない。そういう危機管理の基本がわかっていない人が決定を行うと大変なことになる。太平洋戦争中の戦争指導部はそうだった。「わが軍の作戦がすべて成功して、敵の作戦がすべて失敗すれば皇軍大勝利」という“希望的観測”だけで綴られた作戦を起案する参謀が重用され、「作戦が失敗した場合、被害を最小にするためにはどうしたらよいか」というタイプの参謀は遠ざけられた。

 太平洋戦争中の様々な資料を読むと、精神論を重視していた傾向を把握することができます。内田樹氏が大学在職中も、「これがダメだったらどうしますか?」というようなことを言って不興をかったことが何度もあったそうです。「君のような敗北主義者が敗北を呼び込むのだ」と怒鳴られたことがあるし、もう少し穏やかに「人はこれから次第に状況が悪くなるという話をすると気がめいってきて、頭が働かなくなるのだ」と説明されたことがあるそうです。

 私も、「最悪の事態にどう対応するのか?」と言うと、「言霊になってしまうので言わないでください」と言われたことが度々あります。“言霊(ことだま)”で忌諱するのは国民性と言ってよいかもしれません。“言霊”とは、古代日本で、言葉に宿っていると信じられていた不思議な力のことで、発した言葉どおりの結果を現す力があると信じられていました。新学習指導要領では、「現代文」という科目がなくなり、「論理国語」と「文学国語」という科目が登場します。私は、高校生にとっては「論理国語」も「文学国語」も大切だと思います。2年生以降の選択科目が「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探究」になることで、それぞれの科目の役割が明確になってきます。人気予備校講師で広島女学院大学客員教授でもある出口 汪さんは、論理力を修得しない限り、文学作品や古文、漢文の読解、鑑賞も、国語表現も大きな効果が期待できないと言っています。私もデジタル化が急速に進む現代社会だからこそ言語力が重要だと思います。

 新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るっています。感染者は世界中で1億人をこえ、亡くなった方は240万人をこえ、日本でも感染者は41万人をこえ、亡くなった方は7千人をこえています。日本では、新型コロナウイルス感染拡大防止のために緊急事態宣言が発令され、2月2日には3月7日まで延長されました。まさに、伝える力を含めた危機管理への認識が求められていると思います。

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